「ギイ、ぼく、ギイの子供ができたみたい」
「・・・・」 一瞬大きく目を見開いたギイを見て、よし、今年のエイプリルフールは上手くいったと思ったのだが・・・ 「よくやった、託生!!出来ちゃった婚か、すぐに結婚しよう!!これで誰にも文句を言わせず堂々と結婚できるな、よかったよかった」 ギイは満面の笑みでぼくを抱きしめる。 「ちょ、ちょっと待ってよ、ギイ、そんなの嘘に決まってるじゃないか!」 男同士でどうやったら子供ができるっていうんだよ!!! こんなあからさまな嘘に、その反応って何なんだよっ。 慌てるぼくに。 「分かってるよ。託生、驚いた?」 ギイは悪戯っぽい表情で楽しそうに笑う。 「ずるいっ、ギイ」 「お前が嘘つくからだろ」 「エイプリルフールだもん」 「あのな、エイプリルフールっていうのは罪のない嘘をついていい日だ。オレたちの子供欲しいなぁって思ってるオレにそれは罪のある嘘だ」 「はぁ??子供だなんて本気で思ってるの?ギイ?」 「思ってるよ」 くすくすと笑うギイの本心はまったく見えない。 だめだ。 どこまでが嘘なのかまったく分からない。 ぼくがギイを騙そうなんて、やっぱり100年早かった。 |