5月6日である。
「たーくーみー」 ほらきた。 ぼくは神妙な面持ちでギイを振り返る。 そんなぼくの様子に気づいたのか、ギイはおや、というように首を傾げた。 「託生、今日何の日か知ってるか?」 「・・・・知ってるよ。ゴムの日だろ?」 何となく下世話なニュアンスを含むゴムの日。 あちこちでみんなが騒いでたんだから、いくら噂には疎いぼくの耳にも聞こえてくる。 「なら話は早い。ゴムの日なんだからやっぱり・・・」 言って、ギイはぼくへと腕を伸ばす。 「ダメっ!!ギイのことだから、今日はゴムの日だから、ゴム使ってあれこれしよう、とか言うつもりだろ!今日はしないからねっ!昨日は子供の日だから子供作ろうとか馬鹿なこと言って押し倒したんだからっ!」 そう。5月5日は子供の日。 子供できるまで頑張ろうなんて馬鹿言って、今日は5月6日だからゴム使って頑張ろうとか、絶対ギイはそんな阿呆なことを言うだろうと、ぼくは想定していたのだ。 「ゴム使って頑張るって、託生にしては大胆な台詞だなぁ」 「しないからね」 「ゴム使って、なんて言わないよ」 「?」 ギイはにんまりと笑うとぼくの肩を押してベッドに倒した。 「ゴムの日なんだから、いつも使ってるゴムには一休みしてもらって、今日は何もなしで」 「・・・っ!!!なお悪いっ!!!」 ぼくは遠慮なくギイを蹴り飛ばした。 5月5日と6日は要注意。という話。 |