6月9日 その2



そんな賭など露知らぬ託生ではあったが、もちろんあっさりとギイに 捕まってしまい、ベッドの中へと引きずり込まれた。
「もーっ!ギイってば、離せよ」
「お前なー、何でそんなに嫌がるんだよ」
「当たり前だろ。絶対ギイ、よからぬことを企んでるだろ!」
「何だよ、よからぬことって」
「う・・・だから・・・」
「だから?」
「ギイ、今日は何の日かって聞いたじゃないか」
「ああ、何の日か知ってる?託生」
ちゅっと頬にキスされて、託生は言えるわけない!!!とギイを睨む。
そんな託生にギイはごくごく普通の口調で言った。
「今日はネッシーの日なんだってさ」
「・・・・はい?」
「ネッシー。知らないのか?ネス湖にいるって言われてた恐竜みたいなやつ」
「それは・・・知ってるけど」
もしかして、自分はとんでもない恥ずかしい勘違いをしていたのだろうか。
託生はどうしよう、と恥ずかしさのあまりギイの顔を見ることができずに 視線を外した。
おかしな誤解してごめんなさい、と託生は心の中でひたすら謝る。
「どうした、託生?」
「え、ううん。何でもない!!!えっと、えっと・・でも、じゃあ何でぼくをベッドに 引きずり込んだりするのさ」
「何で、ってそりゃお前・・・」
ギイはがっちりと託生の肩を掴んで、真っ赤になったその頬にもう一度キスをする。
「もう一つの6月9日を、もしかしたら託生がさせてくれないかなーとか思ってさ」
「・・・・・・っっっ!!!!!」
やっぱりやっぱりやっぱり企んでるじゃないかっ!!!
知らないふりしてからかうなんてあんまりだ!!!
「やだやだやだやだっ!」
「はいはい、託生のやだは聞き飽きましたー」
ギイは笑って暴れる託生を抱きしめた。
このあとどうなる!





Text Top

あとがき

結局やるのか、ギイ。