※下世話ネタ注意(タイトルからお察しください)
疲れてへとへとになって帰ってくる日々がここ数日続いていた。 仕事だから仕方がないとは言え、もうちょっとスケジュール調整を何とかしろ、と島岡に文句を言い、深夜になってから帰宅した。 遅くなる時は待たずに寝るようにと言ってあるので、託生はすでに夢の中だ。 それでも寝室のベッドサイドにはオレンジ色の灯りが灯されている。 オレが戻ってきた時のために、という心遣いに笑みが洩れる。 「ただいま」 背を向けて丸くなって眠る託生のうなじにキスをする。ぐっすりと眠る託生は静かな寝息を立てていて、起きる気配もない。 とにかくさっさと眠ってしまおうと、ネクタイを緩めてシャツを脱ぎ、シャワーを浴びた。 生乾きの髪のまま、託生の横に滑り込む。 起こさないようにそっと託生に身を寄せると、眠りのせいで高くなった体温が感じられた。 同じシャンプーを使っているはずなのに、髪から漂う匂いに鼓動が高鳴る。 (抱きたいな) 疲れている時ほどしたくなるというのは、ある意味自然の摂理ではあるのだけれど、気持ち良さそうに眠っている託生を起こすのは忍びない。 けれど、一度したいと思ったらどうにも我慢できなくなってしまった。 こうなったらさっさと済ませてしまおうと決め、右手を下着の中へと忍ばせた。 託生と一緒に暮らすようになってから、一人ですることなんて久しくなかったなぁと思いながら、ゆっくりと刺激を与えていく。 空いた左手で託生の身体を引き寄せて、首筋に鼻先を埋めてみる。 ぴたりとくっついて、託生の匂いに目を閉じる。 パジャマ代わりのシャツの裾を捲って、託生の滑らかな肌に触れてみる。 腰骨から腹部へ、そのまま胸へ。小さな尖りを指先でくすぐると、託生はむずがるように身を捩った。 (あー、やっぱり抱きたいな、いや、眠ってる託生を襲うってのは人としてどうなんだ?) ぐるぐると理性と欲望が戦う。 もしこのまま襲ったりしたら、絶対に朝には怒られるのは目に見えている。 我慢するしかないかと思い、今度休みが取れたら嫌ってほど抱くからな、などと勝手なことを考えてしまうあたり、やっぱり疲れているなと思う。 すっかりカタチを変えた手の中のものをなおも擦り上げていくと、次第に息も荒くなってくる。 自分でするのは単なる性欲処理にしか思えないのだけれど、それでもすぐそばに託生がいて、彼とセックスしている時の甘い声や、仕草や、繋がった時の熱さを思い出すと、やっぱり興奮はするもので・・ (イきそう・・) すぐそこまで来ている波に飲み込まれまいと、息を飲む。 「託生・・・」 柔らかな耳朶を食むと、ぴくっと託生が身を震わせた。 抱きしめられているのが苦しいのか、それとも身体を撫でられるのが気持ちいいのか、託生は オレの手から逃げるようにして身体を反転させた。 「ギイ・・・?」 「ああ・・・悪い、起こしちまったか?」 声が上擦る。あと少しでイけそうなところまできていたけれど、少しスピードを落とす。 「おかえり・・・ギイ・・」 「うん」 キスを仕掛けると、託生はほんのりと笑ってそれに応えてくれた。深く口づけて、熱い舌先を探り当てる。 きつく吸い上げるようにして絡ませても逃げないのは、やはり寝ぼけているからに違いない。 よく考えるとこんな風にキスするのも久しぶりかもしれない。 そう思ったらやっぱり我慢できなくなってきた。 「ギイ・・・?」 「なぁ、したいって言ったら怒るか?」 耳元で囁くと、託生は、 「・・・今から?」 と、半分寝ぼけているのか、呂律の回らない返事をする。 「眠い・・・」 「うん、だよな。ごめん、じゃあちょっとだけ手伝って?」 言うなり託生の手を自分のそれへと導く。冷たい手に触れられたとたん、痛いほど張り詰めていたものがさらに反り返った。 「な、に・・・?」 「今夜は自分でやっちゃうからさ、手伝って?」 その意味が分かったのか分からないのか、託生はオレの胸元に顔を埋めると、すんと鼻を鳴らした。 託生の手に自分の手を添えて、見本を示すように一緒に動かしてみる。 (ああ、キモチいいな、これ) 自分でやるよりずっと気持ちいい。何度か繰り返していると、やがて託生が緩やかに指を動かしてくれた。 腰を押し付けるようにして与えられる快楽を追いかける。 じわりと溢れてくる蜜がくちゅっと音を鳴らした。 「んっ・・・」 託生の手首を掴んで、そのまま何度か強く腰を動かした。 背筋を這い上がる快楽の兆しに素直に身を任せて、そのまま熱い飛沫を吐き出す。 あまりの心地よさに大きく息を吐いて、そのまま残りも託生の手の中にすべて出し切った。 「あのさ、ギイ」 翌朝、朝食の席につくなり、託生が何とも複雑そうな表情でオレを見た。 昨夜はあのあとちゃんと後始末もして、それ以上を託生に求めることはしなかったのだから、文句を言われるようなことはないはずだと、オレは読んでいた新聞を畳んで脇へと置く。 「昨夜・・さ・・」 「昨夜?」 「・・・・」 頬を赤らめて口ごもる託生に笑ってしまう。別にあんなの今さらなのに。いや違うな。ああいう風に右手を借りたのは初めてか。 「ギイ、したいならしたいって言ってくれた方がいいよ」 珍しくきっぱりと託生が言った。 「けど、眠いって言っただろ?強引にやったら悪いと思ったから一人でやったんだけどな」 「そ、そうかもしれないけど、でも、だったら本当に一人でやってよ!」 真っ赤になる託生をまじまじと見つめる。 夢うつつではあったものの、たぶん自分が何をさせられたかは覚えているのだろう。 「なに、託生も興奮しちゃった?」 「なっ!」 「そっか、オレばっか気持ちよくなっちゃったから拗ねてんのか。分かった分かった、今日は早く帰ってくるから、久しぶりに一緒に気持ちよくなろう。よし、やる気になった。さっさと仕事終わらせるぞ!」 「ちがっ・・・。ちょっとギイ、ぼくが言いたいのはそういうことじゃなくて・・・っ」 「いってきます」 「ギイっ!ぼくの話も・・・っ」 上着を手にしてまだ赤い顔をしている託生の頬にキスをする。 「今夜はちゃんと起きてろよ。するから」 「・・・・っ!」 リビングをあとにすると、やっぱり託生は何だかわーわーと言っていたが、とりあえず聞かないことにした。 昨夜のアレも悪くはなかったけれど、やっぱりするなら2人の方がいい。 |