9月2日 



「お、その靴カッコいいな」
昼休みのランチ会。屋上に集まったいつものメンバーで楽しくお弁当を食べていると、矢倉がギイの足元を見て身を乗り出した。
「ニューモデル?初めて見るな」
革靴を履いていることが多いギイだけど、今日はめずらしくスニーカーだ。
矢倉もいつもお洒落な靴を履いているので、足元は気になるらしい。
「ああ、このまえ帰国した時に見つけたんだ。日本未発売」
ニヤリと笑ったギイに、矢倉が悔しそうに舌打ちする。
「ギイ、俺、27センチな」
「・・・だから何だ」
「今度、お土産でよろしく」
「アホか」
特に靴に思いいれのないぼくにしてみれば、履ければ何でもいいんじゃないかと思ってしまうんだけど、そうでもないらしい。
ギイ、お洒落だしなー。いや、でも1000円の靴だって平気で履くしな。
どういう基準で選んでるんだろう。
何となく気になって聞いてみた。
するとギイは少し考えたあと
「・・・フィーリング?」
と首を傾げた。
「何それ」
「見た目も大事だけど、それだけじゃなくて、何ていうか・・ぴたっと合うものがあるんだよなぁ。ああ、探してたのはこれか!って」
「大げさだなぁ」
靴なんて消耗品じゃないか。
するとギイは、ついっとぼくに身を寄せて耳元で囁いた。
「ぴたっと合うのって大事だろ?靴でも恋人でも、さ」
「・・・・・」
「ちゃんと合ってないと痛い思いもすることだし」
靴の話だよね?
何でそんなにやらしい言い方するんだよ!
ぼくはそそくさと場所を移動して、章三の隣を陣取った。
さすがのギイもそこまで追いかけてくるようなことはせず、意味深な視線を向けたあと、再び矢倉とスニーカー談義へと戻っていった。
ぴったりと合うスニーカー。
ちょっと探してみようかな。ぴったり合う恋人はいることだし、なんて考えて、一人で赤くなってしまった。



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あとがき

靴の日だそうな!そのまんまか!(笑) 足のでかい男の人って素敵だ。