「崎託生、もしくは葉山義一」
「はい？」
「結婚したらどっちかの苗字を名乗るわけだよな」
「・・・結婚できたらね」
できるわけないけどね、男同士なんだから。
「字面でいくと、葉山義一も悪くはないが、口に出した感じだと崎託生の方がいいよな」
「・・・そうかな」
分からない。
どっちも何だか変な感じがするし、だいたいそういうことを考えること自体どうなんだよ、とか思ってしまうんだけど。
「託生、もうちょっと真剣に考えろよ、適当にうなづいてるだろ」
「・・・・真剣に？」
思わずまじまじとギイの顔を見てしまう。
「何だよ」
「だって」
いや、ギイがたまにおかしなことを言い出すのは昔からだ。
こういう意味があるのかないのか分からないことを真剣に考えるのってギイの得意技だよね。
「ギイといると楽しいよ」
「そっか？そりゃ良かった」

ほんと、いくつになってもギイといると毎日が楽しくて仕方がない。