意外であるようなないような。 見た目はどこまでも洋風な男ではあるが、ギイは和菓子が大好きである。 「甘すぎず、いくつでも食べられるっていうのがミソだよな」 「まぁそうだけどさ。いくら何でも食べすぎだよ、ギイ」 麓の街にできた和菓子屋さんはイートインもできるとあって、いつ行っても若い女の子たちで賑わっている。そんな中に男三人というのはやっぱり目立つ。 でもそれは場所のせいではなくギイのせいなんだけど。 「ギイがおはぎ食ってるのって、変な感じだよな」 「どうしてだよ。あー美味い」 「だからって4つも食べるなんて。夕食食べられなくなるよ」 「そんなの帰るまでにまた腹は減る」 「・・・・」 この男の胃袋はいったいどうなってるんだろう、と思わず首を傾げてしまう。 「ギイって甘いもの大好きだけど、アルコールだって別に駄目じゃないだろ?将来絶対に太るな。どうする、葉山?」 「どうしてギイが太るからってぼくに聞くのさ、赤池くん」 「へぇ、ギイが太っても気にしないのか」 章三が感心したようにうなづく。 「気にしないことはないけど・・・太ってるギイって想像できないし、何となくギイは太らないような気もするし」 どうだろう。分からない。いくつになっても、ギイはずっとこのままギイのような気がしてならない。 「よし。託生の期待に沿えるよう、食べた分だけ消費しよう。手伝ってくれるよな、託生?」 「え?朝一緒に走るとか?ランニングは苦手なんだけどな・・・」 すると、ギイと章三が何とも言えない微妙な表情をしてみせた。 「頑張って早起きして、ランニングしろよ、ギイ」 「うるさいぞ、章三」 ニヤニヤと笑う章三と、不貞腐れ気味のギイ。 「何だよ、2人だけで分かったような顔して。ランニングじゃなくていったい何の運動を・・・」 言いかけて、はたと気づいた。 これは絶対突っ込んではいけない話題だ。 「あー、美味しかったなー。さ、そろそろ祠堂に戻ろう。バスの時間だし」 そそくさと帰り支度をするぼくに、ギイはつまらなさそうに肩をすくめ、章三はそんなギイにくすくすと笑った。 |