9月29日 



意外であるようなないような。
見た目はどこまでも洋風な男ではあるが、ギイは和菓子が大好きである。
「甘すぎず、いくつでも食べられるっていうのがミソだよな」
「まぁそうだけどさ。いくら何でも食べすぎだよ、ギイ」
麓の街にできた和菓子屋さんはイートインもできるとあって、いつ行っても若い女の子たちで賑わっている。そんな中に男三人というのはやっぱり目立つ。
でもそれは場所のせいではなくギイのせいなんだけど。
「ギイがおはぎ食ってるのって、変な感じだよな」
「どうしてだよ。あー美味い」
「だからって4つも食べるなんて。夕食食べられなくなるよ」
「そんなの帰るまでにまた腹は減る」
「・・・・」
この男の胃袋はいったいどうなってるんだろう、と思わず首を傾げてしまう。
「ギイって甘いもの大好きだけど、アルコールだって別に駄目じゃないだろ?将来絶対に太るな。どうする、葉山?」
「どうしてギイが太るからってぼくに聞くのさ、赤池くん」
「へぇ、ギイが太っても気にしないのか」
章三が感心したようにうなづく。
「気にしないことはないけど・・・太ってるギイって想像できないし、何となくギイは太らないような気もするし」
どうだろう。分からない。いくつになっても、ギイはずっとこのままギイのような気がしてならない。
「よし。託生の期待に沿えるよう、食べた分だけ消費しよう。手伝ってくれるよな、託生?」
「え?朝一緒に走るとか?ランニングは苦手なんだけどな・・・」
すると、ギイと章三が何とも言えない微妙な表情をしてみせた。
「頑張って早起きして、ランニングしろよ、ギイ」
「うるさいぞ、章三」
ニヤニヤと笑う章三と、不貞腐れ気味のギイ。
「何だよ、2人だけで分かったような顔して。ランニングじゃなくていったい何の運動を・・・」
言いかけて、はたと気づいた。
これは絶対突っ込んではいけない話題だ。
「あー、美味しかったなー。さ、そろそろ祠堂に戻ろう。バスの時間だし」
そそくさと帰り支度をするぼくに、ギイはつまらなさそうに肩をすくめ、章三はそんなギイにくすくすと笑った。



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あとがき

洋菓子の日だそうな!ってこの話和菓子だし!ギイ、ほんと何でも食うやつだ。