Precious Days 1



秋になると近づいてくるイベント。
それは文化祭である。
祠堂は山の中腹にへばりつくようにして建っている全寮制の男子校である。
下界とは切り離された生活をしている中、どんなイベントであれ、楽しまなければ損という考えを持つ学生が大多数を占めていて、年に一度の文化祭はそりゃもう盛り上がることこの上ないのだ。
生徒会を中心として数々の催し物も計画されるし、部活別の出し物も行われる。
もちろんクラス別でも出し物もする。
1ヶ月ほど前から放課後ともなれば、みんな文化祭の準備に没頭し始めるのだ。
2−Dでは、全員一致で「甘味処」をすることとなった。
理由は簡単。
女の子は甘いものが好き。
そういうことだ。



放課後、2−Dの教室の片隅で、ギイと章三も文化祭の相談をしていた。
「じゃ、章三、メニューの作成と、調理の指揮は任せるからな」
「ま、しょうがないな」
今日を締め切りに集めたメニュー候補一覧を受け取り、章三はしぶしぶうなづいた。
甘味処というと、もちろん甘いものがメインである。
飲み物は出来合いのものがあるから簡単だが、メインとなる甘味まで出来合いとなると面白みがない。
なるべく手作りでいこう、とギイが提案した瞬間、真っ先にその表情を曇らせたのは赤池章三である。
どう考えてもクラスの連中に料理ができるとは思えない。
だが、指導者がいれば話は別だ。手伝い程度であれば、誰でもできる。
だから、ギイが最初から章三を目当てに発言したのは分かりきったことだった。
料理がプロ級だなんて、クラスの連中に知られるのはまっぴらごめんだと思っている章三だったが、クラスの出し物がしょぼい甘味で馬鹿にされるのはもっと嫌だった。
どうせやるなら完璧にやるのが章三のポリシーだ。
「メニューの内容は任せてもらっていいのか?」
「ああ、好きにしてくれ。だがなぁ、章三、あんまり凝ったものは無理だぞ。食堂の調理場じゃないんだからな。使える器具が限られる」
ギイが言うと、章三はふんと鼻で笑った。
「お前に言われるとは僕も落ちぶれたもんだ。料理に関しては任せろ。それなりの道具で見栄えのいいものを作ってみせるさ」
「頼もしいな」
ギイは手元の書類を眺めて低くうなった。
「どうした?」
「これ、去年、喫茶をやったクラスの客の出入り表。3年の三好先輩から横流ししてもらった」
ほら、とギイが章三に見せる。
時間帯別、男女別に何人の客が入ったかをまとめた一覧である。
「へぇ、マメだなぁ。なになに・・・あぁ、10時台と15時台がピークだな。まぁ朝から校内を一回りして喉が渇いた頃っていうのと、お茶の時間だからな。これがどうした?」
「ピークの時間の方じゃない。暇な時間の方さ」
「うん?」
言われて章三が再び一覧に視線を落とす。
「あー、そりゃあ暇な時間の方が絶対的に多くはなるよな。来客の方々はお茶を飲みにきてるわけじゃないんだし」
章三がギイに一覧を返す。
「だが、どうせやるなら優勝したい」
文化祭のクラスの出し物は、投票でその順位が決められることになっている。
外部からの客はもちろん、祠堂の生徒たちにも投票権はある。
見事1位に輝いたクラスには、文化祭実行委員会から食堂の特別メニューのチケットが送られる。
「特別メニューのチケットは確かに魅力的だよな」
「だろ?甘味処で人気を取るにはどうすりゃいいか」
劇などとは違い、甘味処なんてこれといって特色もない。強いていえばあっと驚くようなメニューがあるか、とびきり美味いか。
しかし簡単にはいきそうにない。
「要はあれか?暇な時間がないようにしたいってことか?」
章三が言うと、ギイはさすが章三、と満足したようにうなづく。
「料理の味は章三がいれば間違いないとして、あとは『いつでも賑わってる』といかに周りにアピールできるかだろ?暇な時間帯をなるべくなくして、いつでも客が入っているようにできないかな、と思ってさ」
「いい方法があるぞ」
「何だ?」
ギイが顔を上げると章三がニヤリと笑う。
「お前がずっとウェイターをすりゃいい。常に女の子たちが入っているだろうさ」
章三が揶揄するように言うと、ギイは露骨に嫌な顔をした。
誰もが羨む美貌を持つギイだが、自身はさほどその容姿を気に入ってはいないのだ。
利用できるものはとことん利用するギイなので、いざとなれば一日中営業スマイルを振りまくこともできるだろうが、進んでやりたいとは思っていない。
ソレを知っているからこその章三の台詞だったが、
「オレばっかウェイターやってどうすんだよ。文化祭の出し物、託生と一緒に見て回りたいぞ」
「葉山は実行委員だろ?そんな暇ないんじゃないか?」
「二日目は少しは時間があるはずだ」
さて、どうしたものかね、とギイは腕を組んで思案する。
喫茶関係が賑わう時間なんてどこも同じだ。
前情報によれば、全校で喫茶をするのは5クラスもあるらしい。
おまけに2−Dの二つ隣のクラスも喫茶なのだ。
激戦区である。
何かいい案はないものか、と二人が思案する。

ぼくが教室へ戻ってきたのは、そんなところへだった。



「二人してずいぶん難しい顔してるんだね、何かあったの?」
「お、葉山、実行委員会は終わったのか?」
「うん、今日は顔合わせみたいなもんだったから・・こっちも文化祭の相談?」
「そうそう」
ぼくはギイの隣にすとんと腰を下ろすと、二人が見ていた手元の書類を覗き込んだ。
メニュー候補一覧を見て、思わず笑みがこぼれる。
「甘味処かー、赤池くんの作るあんみつとか美味しそうだよねぇ」
「託生、あんみつもいいが、フルーツパフェもいいと思わないか?」
ギイが身を乗り出す。
「思う。あー、ぼく、わらびもち食べたいなー」
「オレは抹茶ゼリーが食いたいな」
「お前ら、いい加減にしろよ」
どこまでものほほんとしたぼくたちの会話に、章三が怒りを滲ませてストップをかけた。
だが怒っているのはお気楽なぼくたちの会話に対してだけではなく、ぼくの隣に座るギイが、ぼくにぴったりと身体をくっつけていることだろう。
メニューを覗き込むふりをして、ギイは息がかかるほど近くに顔を寄せてきているのだ。
まともな神経の持ち主である章三にしてみれば、何が悲しくて目の前で男同士のじゃれあいを見なくてはならないのか、というところであろう。
ぼくは慌ててギイの肩をぐいっと向こうへ押しやった。
「何だよ、託生」
「赤池くんが怒ってる」
「だから?章三が怒ったから何だって言うんだよ?」
恋人同士がくっついて何が悪いんだ?とギイが章三に見せ付けるように、ぼくの肩に腕を回す。章三は苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、やがてふと表情を変えた。
「ギイ、いいコトを思いついた」
「何だ?」
「葉山だよ。葉山に演奏してもらおうぜ。あんまり客の集まらない時間帯に、ちょっとしたミニコンサートをやるのさ。あと、ほら、西野が手品が得意じゃないか。あいつにも披露してもらおうぜ」
「なっ・・・!」
ぼくはいきなりの章三の提案に、飛び上がらんばかりに驚いた。
ミニコンサート????
何だよ、それは。
ちょっと、ギイ、何とか言ってくれよ。
と、隣のギイを振り返ると、一緒に反対してくれるはずのギイは
「なるほど」
とうなづいているではないか。
「ギイ!!」
ぼくの叫びなど完全に無視して、ギイと章三はどんどん話を進めていく。
「客足が遠のく時間帯、一時間に一つくらい何かおもしろそうな出し物をするのさ。そうすりゃそれ目当てで人が集まる」
「いいな、それ」
ギイがすっかり乗り気になったところで、ぼくはもう一度待ったをかける。
「ちょっと待ってよ。ぼくには無理だよ、そんなミニコンサートなんて・・」
「葉山、お前せっかく毎日練習してるのに、成果を見せなくてどうするんだ」
「あのね、赤池くん、ぼくはコンサートするために練習してるわけじゃないんだよ?」
ギイも何とか言ってくれよ、とブレザーの肘のあたりを引っ張る。
ギイはうーん、と少し考えたあと、ぼくに特上の笑顔を見せた。
「いやいや、託生、ここはやっぱり一肌脱ぐべきだろ」
「ギイっ!」
「考えてもみろ?お前、今年は副級長という立場にあるんだぞ?クラスの窮地に一肌脱がなくてどうする?」
「クラスがいつ窮地に陥ったんだよ!」
ぼくが反論してもギイはちっとも聞いちゃくれない。
「第一、クラスの出し物は全員参加が基本だからな。お前、実行委員でなかなか手伝うことができないんだから、ちょっとくらい力貸してくれても罰は当たらない」
「何言ってんだよ、実行委員に指名したのはギイだろ!」
文化祭の実行委員はそりゃもうやることがたくさんあって、クラスの出し物の手伝いなんてできやしない。そんなこと百も承知のくせして、まるでぼくが悪いみたいな言い方をされてはたまらない。
「ま、これもいい思い出になるってもんだ。クラスの一員として、託生もちゃんと協力しなくちゃな」
「う・・」
ギイはぽんとぼくの肩に手を置いた。
「全員参加が原則だしな」
章三もにやりと笑ってぼくを見る。
クラスの一員として協力しろ、と言われてはそれ以上拒否はできない。
「もう、ひどいよ、二人して・・・」
ぼくはがっくりと肩を落とした。
ギイも章三もそんなぼくをにやにやと眺めるばかりだ。
「よし、じゃあそういうことで。ギイ、僕は西野に協力要請してくる。あと、何か特技持ってそうなヤツに、ギイからも声をかけておいてくれ」
「了解」
章三はメニュー一覧を手にすると、じゃあな、と手を上げて教室を出て行った。




「ひどいよ、ギイ・・・」
寮への帰り道、ギイと並んで歩きながら、ぼくは一応の文句を言ってみる。
ギイは何で?と楽しそうに聞き返す。
「いいじゃんか。誰かに聞いてもらうのっていい勉強になるんじゃないのか?せっかく毎日頑張って練習してるんだ、その成果を聞いてもらうのもいいと思うけどな」
「だけど、恥ずかしいよ」
心地よい風が頬を撫でる。
急ぎもせず、のんびりと歩くギイは、ふいにぼくと手をつなごうとした。
それをぴしりと叩いて、ぼくはだめだよ、と目で訴える。
まったく、所かまわず手を繋ぎたがるんだから。
そんなとこ見られたら、誰だって不審に思うってどうして分からないんだろう。
ギイはちぇっと舌打ちしてその手を頭の後ろで組んだ。
「あのなー、お前、音大目指すんだろ?人前で弾くのを恥ずかしがってどうすんだ?」
「まだ決めたわけじゃないよ」
音楽は続けて行きたい。
佐智さんのサロンコンサートで演奏して、そう思うようになった。
だけど、じゃあどんな風に音楽を続けていくか、そんな具体的なイメージがあるわけじゃないんだ。
2年も後半にさしかかり、そろそろ進路のことだって考えないといけないってことはよく分かってるんだけど、あんまり考えたくないって思ってるのかもしれない。
だって、卒業後のことを考えると、どうしてもギイのことを思ってしまうから。
深く考えるのは、ちょっと怖い気がするんだ。
どうしたって、二人して同じ道を進むことは難しいだろうから。
そんなぼくの気持ちなんて知らずに、ギイは大丈夫だよ、と笑う。
「託生の腕なら心配しなくてもいいだろ?」
「うーん、人前で弾けるほどの腕じゃないんだけどなぁ」
「何言ってんだ。お前、あの佐智のサロンコンサートで弾いたんだぞ?ちゃんと佐智が認めてくれてるってことだろ?第一、あの時より緊張はしないはずだぜ」
な、とギイが肩に腕を回す。
ぎゅっと抱き寄せられて、ぼくはまたその手を叩いたが、今度はギイは腕を離さない。
まったく、懲りないヤツ。
「大丈夫だって。こう言っちゃ何だが、みんなが音楽に詳しいってわけじゃない。BGM代わりだと思って気楽に弾けばいい」
「まぁ確かにそうだけど」
井上佐智が主催したサロンコンサート。
あの時は耳の肥えた観客ばかりで、本当に緊張した。
それに比べれば文化祭の甘味処で、BGM代わりに弾くだけだと思えば、気持ちも楽だ。
うん、まぁ確かにそうかもしれない。
「分かったよ。やるよ。ぼくも2−Dのクラスの一員だしね」
「そうそう。楽しみだなぁ、やっぱりあれかな、ちゃんと衣装とか用意した方がいいよな」
「絶対やだ。制服でいいからね、ギイ」
面白がって燕尾服とか用意してきそうなギイに、ぼくはしっかりと釘を刺した。
「はいはい、了解」
そう言ってギイはぼくの頬に口付けた。
「ギイっ!!」
まったくもう!!
誰か見てたら・・何て、もう言う気にもならないよ。



「で、託生はバイオリン弾くことになったんだ?」
「そういうこと」
利久の言葉に、ぼくは深々とため息をついた。
2−Dの甘味処ではちょっとした出し物がされるらしい、という噂はあっという間に広がった。祠堂では噂はマッハ3の早さで広まるのだ。
舞台の上で行われる大々的な出し物ではないものの、ギイと章三が首謀者だということで、それだけで嫌でも注目が集まる。
食堂で夕食を食べていると、利久がやってきて、噂の真相はどうなのだ、と聞いてきた。
別に隠すことでもないので、愚痴混じりにそうなったいきさつを利久に訴えた。
「ギイも赤池くんも他人事だと思って勝手に決めるんだ。ひどいだろ?」
「でもさ、特技持ってるヤツの方が少ないんだし、あの二人に見込まれたってことなんだから喜んでいいんじゃないのか?」
「まぁそうだけどさ・・・」
利久に訴えたのが間違いだった。
利久はギイと章三には一目置いてるので、あの二人がやることだとぜんぜん反対しないのだ。
「で、託生、何弾くんだよ?」
「え?」
利久はうーんと腕を組んで空を眺めた。
「やっぱり、歌謡曲とか?」
「何で?」
どうして歌謡曲なんだ?バイオリンでそんなの弾いたことない。
きょとんとするぼくに、利久の方が首を傾げた。
「託生、もしかしてクラシック弾くつもりだったのか?」
「っていうか、それしか弾いたことないよ」
「だめだって、何考えてんだよ、託生ぃ」
利久はやれやれというように首を振った。
「いいか、文化祭にやってくるのは生徒の家族とか、麓の女子高生とか子供とか、とにかくクラシックなんて普段聞いてない人ばかりだぜ?もっと聞きなれた曲にしないと楽しんでもらえないに決まってんじゃん」
「ああ、確かにそれはそうかも・・・」
なるほど、利久の言うことはごもっともだ。
まぁ普通は音楽でもやってないとクラシックって聞かないよね。だがしかし・・・。
「託生、あれは?ほら、情熱大陸でかかってる曲」
「なに、それ」
「え、知らないのか!?ほら、ちゃちゃちゃっちゃっちゃーん、って。俺、あれが聴きたい」
「ああ・・」
利久が口ずさむリズムは聞き覚えがあった。
「ああいう有名なやつがいいよ。みんな知ってる曲の方が盛り上がるからさ」
「うーん、そうだね。でも、歌謡曲をバイオリンで、っていうのは・・・」
どうなんだろうか?
腕を組んで唸るぼくに、利久はなおも言い募る。
「とりあえず、何かみんなが知ってる曲を考えろよな」
「自分のクラスのことでもないのに、何でそんなに一生懸命なんだよ、利久」
「だって、どうせ聴くなら知ってる曲の方が楽しいじゃん」
「えっ、利久聴きに来るつもりなの!?」
思いもしなかった答えに、ぼくはびっくりした。
「あったり前だろ。だって、託生、普段ぜんぜん聞かせてくれないからさ」
そりゃそうだろう。
わざわざ練習してるところを聞かせることなんてしないし、聞いてほしくもない。
そうか。
甘味処に来るのは来客の人ばかりじゃなかったんだ。
祠堂の生徒だって、聞きにくることはできるわけで・・・。
今さらながら、ぼくは大変なことになってしまったことに気づかされた。



「そんなに心配することないって」
忙しいギイが305号室に帰ってきたのは消灯直前だった。
ベッドに突っ伏していたぼくに、ギイはどうしたんだ?と聞いていた。
利久との会話を話して、「やっぱり無理」と言ったぼくに、ギイはしょうがないな、と笑った。
「全校生徒が聞きにくるわけじゃなし、そんなに緊張することはないって」
「そうだけど・・知らない来客の人が聞くのと、知ってる相手が聞くのとじゃ大違いだよ」
「オレは何回も聴いたけど?」
「ギイは別」
言うと、ギイは嬉しそうに目を細めた。
「観客はかぼちゃだと思えばいいって、佐智が昔言ってたぜ」
「かぼちゃ?」
ぼくは佐智さんの名前が出たことで、そろりと顔を上げてギイを見た。
そうそう、とギイがベッドに腰掛けて、ぼくの頭を撫でる。
「昔、オレがさ『大勢の観客の前で演奏する時って、やっぱり緊張するのか?』って佐智に聞いたことがあるんだ」
「うん」
「そしたら佐智のヤツ、『大丈夫だよ、観客はかぼちゃだって思ってるから』ってさ。あいつ、でっかいホールで演奏してる時も、観客のこと、かぼちゃだと思ってるんだぜ。そう思ったらおかしくてさ」
「うん」
ぼくもくすくすと笑う。
「な、だからお前もかぼちゃだと思えばいい」
「わかった」
「よし」
ギイはうなづくと、そのまま横になるぼくの上に覆いかぶさってきた。
「ちょ、っと、ギイ!重いよっ!」
「託生、アドバイス料、プリーズ」
耳元で甘く囁かれて、ぼくは思わず息を呑む。そして逃げることを許さないギイの手にあっさりと掴まえられてしまう。シャツの裾から滑り込んできた指先に肌を撫でられ、ぼくはぎょっとした。
「だめだって、ギイっ!」
「こら、逃げるなよ、託生」
ぎゅっと抱きしめられて口づけられる。
ひとしきりのキスのあと、ギイが優しい瞳でぼくを見つめながら言った。
「文化祭までお互い忙しいからなぁ。オレもばたばたしそうだし。託生も実行委員でやることいっぱいだろ?」
「うん、そうだね」
「どうせそうなると、毎晩疲れたって言って、お前さっさと寝ちまうだろ?」
「うーん、そうかもね」
確かにくたくたになって帰ってきたら、即効寝てしまう自信がある。
「だから、文化祭終わるまで大人しくしてるから、今夜したい」
文化祭終わるまでなんて、絶対嘘っぽいとは思ったけれど、めずらしく下手に出るギイのことを拒めるはずもなく。
ぼくは小さくうなづいてギイからの口付けを受け止めた。







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