ギイはよく食べる。ほんとによく食べる。 見ていてそれはもう気持ちいいくらいに。 夕食の定食を一緒に食べたあと、まだ足りないと言ったギイはさらに天ぷらそばを持ってきた。 まるで一食目のように普通に食べ始めるギイに、ぼくはぽかんとしてしまう。 「何だよ、託生」 「いや、よく食べるなぁと思って」 「大食いの男は嫌いか?」 ギイが手を止める。 「ううん、いっぱい食べるギイが好きだよ」 ぼくは笑って答える。 美味しいって笑うギイが好きだし、おかわりって笑うギイも好きだよ。 「あとでアイスクリーム食べようか、託生」 「いや、ぼくはもうお腹いっぱいですから」 「ご馳走してやるのに」 「じゃあ、ギイのアイスを味見させてもらおうかな」 いっぱい食べるギイが好きだよ。 見ていて幸せになれるから、いつも隣で笑って食べていて欲しい。 |