「え、ギイにも願いごとなんてあったんだ」
託生と2人で、流れ星を待っている時のことだった。 星にどんな願い事をするか、なんて他愛ない話をしていた時に、オレにも願い事があると知ると、びっくりしたようにさっきの台詞を託生が言ったのだ。 何でも持っていて、今さら何を願うことがあるのか、と? 何を願っても叶えられるだけのバックグラウンドを持っていて、贅沢を言うな、と? 恐らくオレを取り巻くほとんど人間が思うであろうことを、託生もまた思ったのかと思うと、ほんの少し胸が痛んだ。 確かにそれは事実かもしれないけれど、どれもオレ自身の力ではない。 望んで手に入れた力でも何でもない。 それでもそう思われてしまっても仕方がないと、半ば諦めにも似た思いが胸を掠めたとき、託生が笑って言った。 「だって、ギイなら星に願ったりしなくても、何でも自分の力でちゃんと叶えてしまいそうなんだもん」 オレは言葉を無くした。 託生は、ちゃんとオレを見ていてくれる。 オレに纏わる余計な付属品などには目を向けず、オレ自身を見てくれている。 ふいに泣きたくなるほどの愛しさが込み上げて来て、声が震えそうになるのを必死に堪えた。 「そっか・・託生はそんな風に思ってくれてたんだ、オレのこと」 「え、うん・・だってギイは何でもできるだろ」 何の屈託もない託生の言葉。 ああ、託生を選んでよかった。 託生がいれば、オレは正しくオレでいられる。 星が願いを叶えてくれるなんて思っちゃいないが、それでも心からそう願ってしまう。 託生と一生一緒にいられますように。 |