お正月(2014年) 2



待ち合わせ場所にやってきた託生は、そりゃもう完全防備で、思わず吹き出してしまった。
「お前、どうなってんだよ、それ」
「寒いよー」
ダウンのコートを着て、首にぐるぐると巻かれたマフラーで鼻先まで隠れている。
手袋はもちろん、カイロまで持っている。
「それほどの寒さか?大げさなヤツだなぁ」
「ギイは絶対に体感感覚がおかしいんだよ、やっぱり行きたくない。コタツでぬくぬくしてたい」
吐く息が白い。年が変わるまであと30分。
そりゃまぁ一番寒い時刻だとは思うけどな、今さら行きたくないなんて言うなよな。
オレと一緒にいるよりもコタツの方が好きなのかと、うっかり愛情疑ってしまうじゃないか。
「初詣に行きたいって言ったのは託生だろうが」
「言ったけど、まさかこんなに寒いなんて」
「はいはい。じゃ神社で温かい甘酒でも飲もう」
「未成年」
「甘酒くらいいいだろ」
「おでんの方がいい」
「お、それもいいな」
誰もいない深夜の住宅街だから、そっと手を繋いでみる。
託生はちらっとオレを見て、うっすらと目元を赤らめた。
我慢できずに身を屈めて小さくキスをしようとしたが、マフラーに邪魔された。
「・・・寒がり反対」
思わずつぶやくと、託生は楽しそうに笑った。



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あとがき

3年時のお正月!くらいの勢いで書いたはず!(笑) 叶わぬ願いとなってしまった。