毎年2月になると、ぼくとギイとの間に微妙な空気が流れることが多くなる。 「・・・だけどさ、もういいんじゃないかなぁ、今さらチョコなんて・・・」 と、それとなく言うと、 「今さらって何だよ。お前、オレへの愛情薄れたのか?」 「そんなわけないだろ」 毎年繰り返される同じ会話。 この期に及んでまだチョコが欲しいだなんて。 「・・・食いしん坊」 「はぁ!?お前、それ全然違うから!!」 わかってるよ。 だけど、もう付き合い始めて20年になるんだから、いい加減バレンタインなんて スルーして欲しいと思うんだけど、結局毎年ギイに押し切られてしまう。 「わかったよ。ちゃんと用意します」 「よろしい」 満面の笑みを浮かべて、ギイはぼくの頬にキスをする。 さて、これからバレンタインまでの間にギイが満足するチョコを探さなくては。 これも毎年繰り返されるぼくの行事のひとつである。 |