「あと5センチ伸びたかったな」 2年進級時はほぼ同じだった身長が、その後ギイはすくすくと育ち、あっという間に追い抜かれてしまった。 「別に今では低い方じゃないだろ」 「そうだけど、でも180センチあるとかっこいいだろ?」 ぼくが言うと、ギイはいやーな顔をした。 「お前な、そんなにでかくなったら、お姫様抱っこできなくなるだろうが」 「何だよ、それ!そんなものしなくていいし!!!して欲しくもないよっ!」 何度か簡単に抱き上げられた経験のあるぼくだけど、女の子じゃないんだから、軽々と抱き上げられるのは屈辱でしかない。 「男のロマンだろうが」 「・・・・そうだね。だったらぼくがギイのことをお姫様抱っこしてもいいんだよね?」 「はぁ???あり得ないし!」 「何でだよっ!男のロマンなんだろ!」 どうしてギイならよくて、ぼくはダメなんだよ。 「いつか絶対にしてやる」 密かに決意したぼくに、ギイはどこか呆れたような視線を送るのだった。 |