ツボ



ぎゅーっと背中を押されて、うーんと唸る。
「どう、ギイ?効いてる?」
「微妙〜。ツボ、ちょっとずれてないか?」
「え?そうかな。ちょっと待って」
うつぶせになったオレの腰に跨った託生が手を伸ばして、雑誌を引き寄せる。
指圧のツボがいろいろと掲載された雑誌を見ていた託生が、試したいと言い出したのだ。
肩こりには無縁な身体なのだが、託生に触ってもらえるというだけで、二つ返事でOKした。
指圧というよりはマッサージに近いことをしてくれる託生に笑みがこぼれる。
跨ってくれるなら向かい合わせの方がいいんだけどなーとか、どうせ気持ちよくしてくれるなら、違う意味で気持ちよくしてないかなーとか。
託生に知られたら絶対に怒られそうなことばかりが頭に浮かぶ。
「ギイ、ここはどう?」
「んー、もうちょっと下」
「ここ?」
「そうそう」
「何のツボだろ」
「性欲アップ」
「ええっ!」
思わずと言った感じで託生が手を離す。
「おかしなツボ押させるなよっ!」
「おかしなって、お前〜」
半身を捻って、上になっていた託生を身体の下に組み敷く。
「ちょっとギイっ」
「託生にも必要だろ?オレの性欲」
「・・・・っ!!」
とたんに真っ赤になる託生の唇にキスをする。
「ツボが効いたか試してみよっか」
耳元で囁くと、託生は色気なく、ばちんとオレの肩を叩いた。

もちろんツボの効果はきっちりと確認した。



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あとがき

壷?と思った人いますか?