今さらですが



ギイが酔っ払うことなんて滅多にないのだけれど、どうやら今日はとても楽しい集まりだったようで、帰ってきた時にはもう何を言ってるか分からないような状態だった。
「ギイ、しっかりしてよ。ほら、もうベッドに行って」
「んー。オレ、託生に大事な話があるんだ」
「はいはい、何だい?」
聞いたところで、要領を得ない。
何だかわけの分からないことを言い続けるギイを引っ張って、何とかベッドに押し込んだ。
まぁ滅多にないことだからいいんだけど、これが毎晩続いたりすると世の奥様たちは大変だなぁなんて思った。
そして翌日。昼過ぎまで眠っていたギイは完全な二日酔いになっていた。
「頭痛い」
「飲みすぎだよ」
ぐったりとしているギイに濃いお茶を差し出す。
「ギイ、昨夜、ぼくに大事な話があるって言ってたけど、何?」
「んー?ああ、あれな。託生のこと愛してるよって伝えようと思って」
「・・・・・はい?」
「いや、昨夜は今度結婚するヤツのお祝いの会だったんだけどさ、結婚してる連中って滅多に奥さんにそういうこと言わないっていうからさ。オレはちゃんと口にしておかないとな、って」
「・・・それ?」
「そう、それ」
何か問題でも?という表情のギイに、ぼくはやれやれとため息をつく。
オレは口にしなきゃ、なんて言うけど、そういうこと、ほとんど毎日言ってるという自覚があるのだろうか?
無意識っていうのは怖い。



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あとがき

大人になってからも好き好き光線。けっこう面倒。