「んーっと、方角はこっちで合ってる?」 託生が手にした星座盤を確かめながら夜空を見上げた。 綺麗に晴れた夜空には降ってきそうなくらいの星が瞬いていた。 「合ってるよ。ほら、これがあの星」 ギイが星座盤を指差して、その指を空へと向ける。 託生の視線がそれを追い、ギイが導くままに一つの星に目を細める。 「あ、あれだ!」 「で、これが、あの星な」 「ああ、すごいね、星座盤ってこうやって使うんだ」 高林がどういう気まぐれからか、昔使っていたという子供向けの星座盤を託生にくれた。それは本当に子供向けのちゃちなものではあったけれど、託生は初めて手にする星座盤に興味津々だ。 「すごいなー」 「・・・何かちょっと複雑」 「え?何が、ギイ?」 顔を向けると、ギイはまるで拗ねた子供のように唇を尖らせている。 「お前がそんなに夢中になるもの、オレじゃなくて高林が与えたっていうのがなー」 「なに、それ」 ぷっと吹き出す託生を、ギイが長い腕で抱き寄せる。 「そんなきらっきらした瞳されたら、まぁいいかと思ったり、だけどどうせならオレがそういう顔させたかったなとか、な」 恋する男心は複雑だ、などと真顔で言うギイの腰に、託生もまた両腕を回す。 「ぼく一人じゃちゃんと星は見つけられなかったよ?」 「うん?」 「ギイが隣で教えてくれたから、ぼくは星を見つけることができた。だからいつだってぼくを幸せにしてくれるのはギイなんだ」 「託生・・・」 「ありがとう、ギイ」 静かに微笑む託生に、吸い寄せられるようにギイが口づけを落とした。 |