将来の心配



「ギイの髪ですごく柔らかいよね」
ベッドで、コトが終わったあとに、それでもまだ甘えてくるギイの髪を撫でるとなく撫でていた。
綺麗な髪だなぁといつも思っているんだけど、何ていうか触り心地がいいんだよね。
柔らかくてふわふわで。
ギイはぼくの首筋に顔を埋めたまま、んー、と低く唸った。
今にも眠ってしまいそうな声色なのは、きっと人の手で撫でられてるのが気持ちいいからなんだろう。
子供みたいだなぁとおかしくなる。
「ギイは将来薄くなる派かな、それとも白くなる派かな?」
「・・・・」
「柔らかい髪の人って薄くなるんだっけ?ギイのお父さんてどうなの?あ、ハゲるのって隔世だからおじいちゃんがどうなのか、だよね」
それまで黙ってぼくの話を聞いていたギイは、のろのろと顔を上げた。
「たーくーみー」
「なに?」
「お前な、仮にも最愛の恋人相手にハゲるかどうなんて聞くんじゃない」
「え、でも、ぼくんちのおじいちゃんはけっこう薄かったし、年取ったらぼくもああなっちゃうのかなーって、小さい頃悩んだけどな」
「だから、想像させるな」
「何だよ、ギイはぼくがハゲちゃったら愛情なくなっちゃうのかよ」
ぼくがギイの頬をむぎゅっとつまむと、ギイはつまらなさそうに鼻を鳴らした。
「ハゲようか白くなろうが死ぬまで愛してやるから安心しろ」
「はは、ぼくもギイがハゲちゃっても大丈夫だよ」
「・・・色気のない会話だな」
くすくすと笑ってギイがぼくにキスをする。
遠い遠い将来のことはとりあえず考えないことにして、ぼくは手触りのいいギイの髪をくしゃりと撫でた。



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あとがき

容赦ないな、託生!!