「託生、たまには我侭言って、オレのこと困らせてみてくれよ」 「え?」 「だってさ、オレばっかり託生に我侭言ってるみたいだし」 「別にそんなこと思ってないよ?」 「そうかぁ?いや、あれだな。託生に我侭言われて、困ったなぁなんて思ってみたいんだよな、オレ」 「・・・・・」 なんてこと懇願されたので、ぼくはあれこれとギイの言うところの「我侭」を考えて、思い切ってギイに言ってみた。 「ギイ、ぼくと仕事、どっちが大切?たまにはぼくを優先してよ」 これはぼくにしてみれば最強の我侭のつもりだった。 こういうこと言われると、どんな人だってそりゃ困るだろうと思ったのに、ギイはあっさりと 「いいぜ。じゃ明日は仕事休んでデートするか」 とやけに嬉しそうにうなづいた。 「いやいやいやいや、違うだろ、ギイ!そこは困るところだろ???」 「え?何で困るんだ?」 「何でって?・・・え、これ、我侭にならないの?」 「我侭じゃないだろ」 「え、そうなの?」 いったいギイにとっての我侭ってどういうものなんだろう? |