温めのお湯に漬かり、浴槽の縁に首を預けて、頭だけを外へと向けるという格好で、オレは目を閉じていた。 「ギイ、気持ちいい?」 託生の問いかけたに、うんと返事を返す。 気持ちいいには違いない。でも・・ (どうせならもっと違う気持ちいいことして欲しいんだけどなぁ) 一緒に風呂に入ろうという誘いを、託生は二つ返事で了解した。 珍しいこともあるもんだ、と思ったオレに、 「ギイの髪、洗ってあげるよ」 と、どこかうきうきした声で託生が言った。 「一度洗ってみたかったんだ。ギイの髪、綺麗だから」 「ああ、そりゃどうも」 確かに風呂は身体とか髪とか洗うところだけれど、恋人同士で一緒に入るとなればもっと他にすることがあるだろう、託生!なんて心の叫びが届くはずもなく・・・ かしかしと託生の指がオレの頭をマッサージするように滑らかに動く。 (ああ、そういう風に触ってくれたら、オレ、天国へ行けるかも) そんなオレの淫らな妄想を洗い流すように、託生がシャワーで髪をゆすぐ。 「ギイ、顔が赤いけど、大丈夫?湯あたりしちゃった?」 「いや、大丈夫。なぁ託生、オレにも託生の髪洗わせてくれよ」 「え、うん・・・いいけど・・」 「めちゃくちゃ気持ちよかったから、お礼に、オレも託生のことめちゃくちゃ気持ちよくしてやるからさ」 「・・・そう?」 じゃあよろしく、と素直にオレに背を向ける託生。 さて。 髪を洗ってもらうよりももっと気持ちいいことをしたいと託生に思わせられるかどうか。 腕の・・いや指の見せ所ということろである。 |