髭 2



髭を伸ばすと宣言したギイは、その宣言通り髭を伸ばし始めた。
3日もすればさすがに見た目にも分かるほどになってきて、何だかちょっと別人みたいになってきた。
「案外伸びないものだなぁ」
ギイが鏡を見ながら頬を撫でる。
「ま、もうちょっと様子見てみるか」
「ギイ、どうしていきなり髭なんだい?」
不思議に思って尋ねてみると、ギイはんー?とのんびりと振り返った。
「いや、最近流行りなんだって、髭伸ばすの。で、ちょっとやってみるかと思ってさ」
「何だよ、それ」
よく分からない理由だなぁと思わず苦笑した。
「託生、オレ、カッコいい?」
背中から抱きついてきたギイが耳元で囁く。
「ギイはいつでもカッコいいよ」
「・・・お前、ぜんぜん気持ちがこもってない」
拗ねるギイに、ぼくはしょうがないなぁと笑って、ギイを正面から見上げた。
無精髭の生えた頬に手を添えると、ざらりとした感触が伝わる。
「無精髭生やして、ますますカッコよくなって、ぼくはきっともっとギイのことが好きになるんだろうなぁ、そんなに夢中にさせて、ギイはいったいぼくをどうしたいんだろうね?」
「・・・・」
「ギイは何してもカッコいいよ」
背伸びして無精髭の生えた頬にキスすると、ギイは何だか嬉しそうに笑った。
「でも仙人みたいになるまでは伸ばさないでくれよね」
「了解しました」
そう言って、ギイはぼくの頬にお返しのキスをしてくれた。



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あとがき

髭萌えますが!!駄目ですか?