珍しく2週間ほどのバカンスを手に入れたギイは、 「オレ、髭伸ばしてみようかな」 などと言い出した。 「どう思う?託生」 「髭ねぇ、あんまり想像できない」 「託生も薄いけど、オレもそんなに濃い方じゃないしなぁ、2週間でどれくらい伸びるものか試してみるか」 まぁ好きにしてくれていいよ、とぼくは適当に相槌を打っていた。 しかし、である。 「ギイ、やっぱり髭剃ったら?」 1週間ほどたつと、それなりに髭だって伸びてくる。 珍しく遊びにやってきた妹の絵利子ちゃんは、無精髭の生えたギイを見て 「ギイ、汚いから、やめてよ、それ」 と一刀両断にしてくれたのだが、ぼくからすると、無精髭の生えたギイというのはちょっと男っぽさが増した感じがして、見た目にはけっこういいなと思ったりもしたのけれど・・・ 「やっぱり剃って」 「何だよ、悪くないって言ったじゃないか」 ざらりと顎を撫でて、ギイがぼくを見る。 「見た目はいいんだけどさ」 「うん?」 「・・・痛いから」 「キスする時とか?エッチする時とか?」 にやけるギイを一発殴ると、ギイは楽しそうに笑った。 あと1週間、どこまで伸びるか試したい、というギイに、 「剃るまでしないから」 と言い渡すと、その夜にはさっさと髭を剃ってしまった。 いつもの見慣れたギイに戻ったはずなのに、何だかちょっと別人みたいな気がしてその夜、ギイに抱かれたときは、ちょっと気恥ずかしくて仕方なかった。 |