「明日でこの世界が終わるとしたら、お前どうする?」 「何それ」 「学生アンケート。こんなの聞いてどうするんだろうな」 オレはとんとん、とペン先でメモをつつく。 以前も学生の意識調査とかでこんなことやらされたなぁ。 託生はくるりと椅子を回転させて、オレに向き合った。 「明日で世界が終わっちゃうんだ」 「そういうこと。で、お前どうする?」 「どうって・・・何もできないよね。逃げるわけにもいかないし」 「まぁな」 「じゃ何もしない、かなぁ」 「そうだけどさ、そうじゃなくて」 オレはちょっともどかしくなってきた。 分からない様子の託生に、オレはあーあ、と言って、ペンを放り投げた。 「あのさ、世界が終わる日だぞ」 「うん」 「お前、一人で何もしないって、そりゃないだろ」 「・・・・・誰が一人でって言った?」 「え?」 「ギイも一緒にいてくれるんだろ?」 「・・・・」 「だって、世界が終わる日なんだよね?ぼくを一人にするつもりなの?」 ああ、そっか。 託生の中では、オレはもういつも一緒にいる存在なんだな。 特別なことじゃないから、あえて言う必要もないんだと思うと、じわじわと幸福感が溢れてきた。 「オレも託生と一緒に何もしないに一票」 「うん」 「最後まで一緒な」 「うん」 託生は当たり前のことのようにうなづいて、小さく笑った。 |