「明日でこの世界が終わるとしたら、お前どうする?」 いきなり三洲に問われて、真行寺は「はい?」と間抜けた声を上げた。 「さっさと答えろ」 「何なんすか、それ」 「学生アンケートだ。深く考えずに答えろ」 「えーっと、明日で終わりなんすよね。えーっと、えーっと」 「・・・・」 「アラタさんと一緒にどっかへ逃げます」 「どこへ?お前、質問の意味が分かってないな。明日世界が終わると言ってるんだぞ?」 「だから、たぶんみんなパニックになってるでしょ?でもアラタさんはきっと騒がずに、そういうの受け入れますよね。で、静かなところへ行きたいって思うと思うんで、俺がそういうところへ連れていきます」 「・・・・」 「俺が最後まで一緒にいます」 きっぱりと言い切る真行寺の額をぺちんと叩いた。 「いてっ、もー、何するんすか」 「静かなところへ行きたいっていうのに、お前がいたらうるさいだろうが」 「えー、大人しくしてますよ。もう覚悟決めて、アラタさんと静かに最後を迎えますって。だから俺と一緒にいてくださいね」 こんな何てことのないアンケートにさえ真面目に答える真行寺に呆れる反面、何とも言えない幸せな気持ちになるのはどうしてだろうか。 「ところで、アラタさんの答えは?」 「・・・・」 このアンケートを見た時に、最後の瞬間に一緒にいたいと思った相手が真行寺だったなんて、口が裂けても言えない。 ねぇねぇと纏わりつく真行寺をそっけなくかわして三洲はこんなアンケートに協力するんじゃなかった、と少しばかり後悔をした。 |