順番




少しでも気を抜くと意識が遠く飛んでしまいそうだった。
とんでもなく眠くて、もう本当にこのまま眠ってしまいたい。
だけど・・・久しぶりのゼロ番で、明日は休みで。
ぼくはさっきシャワーを浴びたばかりで、今は交代でギイが入ってて。
このあとは、うん、まぁそういうことだよね、ってお互いに分かってて。
ちゃんと言葉にしなくてもそういうの、分かるんだけど。
だけど、ギイの布団に潜り込んでしまったのがまずかった。
暖かくて、ギイの匂いが残ってて。
部屋の灯りも落とされてるんだから、これで眠くならないわけがない。
「託生?」
うん、と返事をしたつもりだったけど、たぶん声になってない。
ギイがやれやれというようにため息をついたのが分かる。
だめだ、起きなくちゃと思うんだけど・・・

そして目覚めたら朝だった。

ぼくの隣にはギイが背中を向けて眠っていた。
「うわ〜、どうしよう」
結局ぼくはあのまま眠ってしまったようで、つまり、何をするでもなく一夜を過ごしてしまったということだ。
「ごめん、ギイ」
思わず言うと、ギイは「んーっ」と低く唸りながらこちらへと寝返りを打った。
ぼくを見て、寝起きとは思えないはっきりとした口調で
「次からは託生がオレのあとに風呂に入ること」
そうしたら、先に寝られることもないからな、と笑う。
「ごめんね、ギイ」
「悪いと思ってるなら、こっちへ来なさい」
腕を引かれて抱きすくめられる。
「今日の午後」
「え?」
「昨夜できなかったことは、今日の午後にするからな」
「・・・・」
うん、とうなづくのはどうにも恥ずかしくて、ぼくが眠ったフリをすると、ギイは小さく笑って、ぼくをさらにきつく抱きしめた。




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あとがき

寝てる間にされなくて良かった良かった。