「託生、オレの妹に会いたかったのか?」 と聞かれたのは、きっとぼくが 「ギイの妹って文化祭に来るの?」 なんて、今思えば余計なメールをしたせいだと思う。 そういうことを何も知らないこととか、ぜんぜん聞こうとしないってことが恋人としてどうなんだろうって思っただけで、すごく会いたいのかと言われれば・・・・ 「会いたい・・ような、会いたくない・・・ような?」 「何だよ、それ」 ぷっとギイが吹き出す。 「だって、自慢の兄さんの男の恋人ってどうなんだろう」 嫌われたら立ち直れそうにない。 「ギイは?ぼくに会わせたくはない?」 「まさか。紹介したいよ、ちゃんと恋人として。だけどなぁ、託生があいつのこと好きになったりしたらなぁ」 「ええ?」 ぼくがギイの妹を好きなる??? 「けっこう似てるんだよな、顔とか性格とか」 どこか神妙な面持ちのギイに、ぼくの頭は「?」でいっぱいになる。 「だって女だしさ、一応」 ぽつりと言ったギイの言葉は、つまり、ギイと容姿も性格も似てたら、女の方がいいと思って、ぼくがギイの妹のことを好きになるんじゃないかって、そういう心配をしてるってこと? 「なるわけないじゃないか」 今度はぼくが吹き出した。 「あのさ、ギイ。もし妹さんがギイと同じくらい綺麗だったとしても、ぼくが好きになったのはギイなんだよ?他の誰かが代わりになんかなれないんだよ?おかしなこと考えるんだなぁ、ギイ」 「お前、笑いすぎ」 「だって」 何に対しても自信満々なくせして、時々そんなことを言うギイが妙に可愛く思えて仕方ない。 「大好きだよ、ギイ」 「知ってるよ」 ほんとかなぁと笑うと、ギイは少し拗ねたように唇を尖らせて、そしてぼくに口づけた。 |