「犯人は誰だと思う?」 ギイがどこか悪戯っぽい瞳でぼくを見る。 テレビ画面で流れているのはサスペンス劇場。どんどん人が殺されていって、そのうち登場人物がいなくなるんじゃないか、と思いながら見ていたのだ。 物語はもう後半へと差し掛かり、そろそろ犯人が分かるんじゃないかと思うんだけど。 「んー、弟・・・かなぁ」 「どうして?」 「そういう顔してるから」 ぷっとギイが吹き出した。 「何だよー」 「だって顔でって、推理しろよ」 「じゃあギイは誰だと思うんだい?」 「そうだなぁ、恋人の友人」 「どうして?」 ぼくが聞くと、ギイはそれはそれは見事な推理を披露してくれた。 なるほどねー、確かにそれは怪しいな、と思っていたのだけれど、結局犯人はぼくの予想通り、被害者の弟だった。 「冗談だろ?」 「だからさ、ギイ、日本のサスペンスって、それっぽい役者が犯人役になることが多いんだって」 こんな脇役にこの役者はあり得ない、ていうのがたいてい犯人なのだ。 「もっとちゃんとした推理をメインしないとだめだろ」 「そんなことぼくに言われても」 まぁ確かにギイの推理の方がサスペンスものとしてはよくできてるとは思うけど。 「納得できない」 「そのうち慣れるよ」 ぶつぶつと文句を言うギイが何だか可愛くて、ぼくはぽんぽんと彼の肩を叩いた。 |