春になったら 1



「奈美、春休みに入ったら、ちょっと遠出して遊びに行かないか?」
「うん、いいね」
章三くんの提案に私は特に深く考えずにうなづいた。
「じゃこれ」
私の前にぽんと置かれたのは、旅行会社のパンフレット。
え、パンフレット???
「沖縄、京都、北海道。どこでも行きたいとこ選んでいいから」
「え、えーっと・・・」
「心配しなくても旅行代金は僕が出すから」
「えーっと・・・」
「じゃ、今度会うまで行くとこ決めとけよ」
章三くんはこれからバイトだからと言って、私の頭をぽんと叩くと先にカフェを出て行った。
「えーっと・・・??」
どれも一泊しないと行けないところばかり。
幼馴染から恋人へと呼び名が変わって3ヶ月。
しょっちゅうデートはしているけれど、旅行なんてもちろんしたことはなくて。
「これは・・・もしかしてそういうこと?」
私は頬が熱くなるのを感じて思わず手をやった。



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あとがき

そのためにせっせとバイトする章三ってのがまた!(笑)