ぽりぽり



食べだしたら止まらなくなるものってある。
ギイと街へ下山した時にコンビニで見つけた「辛子マヨネーズの豆菓子」。
これがもう絶妙の味わいで、ちゃんと夕食を食べたというのに、ギイと二人でぽりぽりと食べだすと止まらなくなってしまったのだ。

「美味しいね、これ」
「だよなー、だいたいナッツ系ってやめられなくなるんだよな」

ぽりぽり

「でもカロリー高そうだし、ほら、チョコレート食べ過ぎたら鼻血出るっていうけど、あれと同じようになっちゃいそう」
「オレ、チョコレート食べ過ぎて鼻血出したことなんてないぞ」
「ギイは大丈夫っぽいよねー」
「何でだよ」

ぽりぽり

「わー、どうしよう、一袋全部食べちゃった。でもまだ食べたい!」
だめだと分かっているのに思わず叫ぶと、ギイは不敵な笑みを浮かべてぼくを見た。
「・・・・ギイ?」
「ん〜?」
「もしかして・・・」
まさかと思っているぼくに、ギイはじゃーんと菓子袋を取り出した。
「え、もう一袋買ってたの?」
「いやあとふた袋」
さすがギイ。抜け目ないなぁ。
「でも鼻血出したら困るから、託生はもうだめ」
「えー!!ずるいよ、ギイっ」
菓子袋に手を伸ばすとぼくとそれを阻止しようとするギイ。
笑いながら攻防を繰り返してたら、すっかりお菓子のことは忘れてじゃれあって終わってしまった。
ギイ秘蔵の豆菓子。明日絶対に強奪しようと、心に決めた。



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あとがき

美味しいんだよなー