「え、ギイって自転車乗れるの?」 託生の驚きの言葉に、オレの方が驚いてしまう。 「自転車くらい乗れるさ。何だよ、まさか乗れないと思われたわけ?」 「はは、実はね。っていうか、ギイと自転車が結びつかなかったんだよ。ギイにはリムジンって感じ?」 オレの横で章三がぷっと吹き出す。 「確かにギイと自転車って結びつかないな」 「うるさいぞ、章三。それを言うならな、託生こそ自転車乗れるのか?」 「・・・・・」 黙り込んだ託生に、オレも章三もぎょっとした。 まさか本当に乗れないのでは? 託生の場合、乗れないと言われると、そうかもなぁなんて思ってしまうのだが。 どう言ったものかと章三が迷っているのも手に取るように分かる。 そんなオレたちの様子に、託生が吹き出した。 「乗れるよ、ぼくだって。ほんと、2人とも失礼だなぁ」 楽しそうに笑う託生に、オレたちはからかわれたのだと気づいた。 託生にからかわれようとは!!!!! オレと章三は顔を見合わせて己の修行が足りないことに臍を噛むのだった。 |