毎日食べるなんてよくないな、と思いつつも、こう暑いとどうしてもアイスに手が伸びる。 「応募券5枚で、もれなく景品がもらえるらしいぞ」 新作のアイスクリームの袋を、章三はひらひらと託生に振ってみせた。 託生はふうんとあまり興味なさそうに袋を眺めていたが、ふと思いついたように首を傾げた。 「そういえばさ、昔『もれなく』って『すぐに』って意味だと思ってたんだよねぇ。だから『もれなく貰える』なんて聞くと『すぐに貰える』んだと思ったんだ。どうしてあんな思い違いしてたのかなぁ?」 「・・・・・」 「・・・・・」 「お前、それは『まもなく』と混同してたんじゃないのか?」 章三の言葉に、託生は大きく目を見開いて、そっか!と感動したようにうなづいた。 「すごいねぇ、赤池くん。そっか。そうだったんだ。長い間不思議だったんだけど何だかすっきりしたよ」 「・・・・・」 「なに?」 深々とため息をついた章三に、託生が訝しげな表情を見せる。 「いや、葉山といると退屈しないだろうなぁと思ってさ」 「何だよ、それ」 日本人なのだから、もっと言葉の意味を理解しろ、とか。 こっ恥ずかしい間違いを指摘されたのに嬉しそうに笑うな、とか。 言いたいことは多々あるが、こんなヤツだからこそ、ギイは一緒にいて飽きないんだろうなぁと腐ったことを考えてしまうのは・・・ 「暑さのせいだな」 「だから何がだよ!」 「いいからさっさと食え。溶けてるぞ」 章三の言葉に慌てて託生がアイスを口にする。 まったく暑すぎる、と章三は額の汗を拭って、もたもたとアイスを食べる託生を眺めるのだった。 |