ビアガーデン



「あ、あの子可愛い」
「どれ?あー、ギイの好みっぽいな」
章三がジョッキを片手に薄く笑う。
ここは、へそ出しミニスカートの綺麗なお姉さんたちがビールサーバーを運んでくれる、男なら何とも天国なビアガーデンである。
招待券貰ったからと、矢倉も誘って4人でやってきたのだ。
「ギイの好みってどういうのなの?」
枝豆を食べつつ託生が尋ねる。思わず章三と矢倉が顔を見合わせる。
自分の恋人の好みをお前が聞くのか!というところである。
「オレの好みは託生みたいな感じの子」
「だから、それってどういうのさ?」
「ぽやーっとした天然ぽい子だろ?」
矢倉が笑うと、章三もそうだよな、とうなづく。
「あのさ、ぼくは別に天然じゃないし。ぽやーっともしてないんだけど」
まったくもって不本意だ、と託生が憤る。
「分かってないところが天然なんだろ?」
楽しそうにギイが笑って、酔ったふりをして託生の頬にキスをすると、ミニスカのお姉さんたちの視線が集まる。人目の多いこんなところでそんなことをするなんて、ギイだって大概天然じゃないか、と章三がため息をつく。
結局似たもの夫婦かよ、と矢倉もうんざりとジョッキを煽った。




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あとがき

託生くんみたいな子はビアガールにはならない。