例えば男女のカップルであれば、デートの時に手を繋ぐなんて当たり前のことだと思う。 だけど、ぼくとギイは同じ男だし、人前で手を繋ぎたいなんて願望は、正直言って皆無なのだ。 少なくともぼくは。 だけどギイは違うようで、隙あらば手を繋ごうとしてくる。 その手を何度振り払ったか分からない。 「手繋ぐくらいいいだろ」 「よくない」 「託生のけちんぼ」 「はい???」 ケチだなんてあまりにもひどい言い草じゃないか。 単にギイに羞恥心がないだけなのに。 「じゃあ腕を組むとか」 「なお悪い」 「オレたち付き合ってんのに」 「・・・あのさ、ギイ」 ぼくはため息混じりにギイを見上げた。 「誰かに見られてるかもって思うとやっぱり無理。だから、あの、2人だけなら別に・・・いいんだけど」 ギイは満面の笑みを浮かべると、素早くぼくの唇にキスをした。 「・・・・っ!」 「んじゃ、寮の305号室で思う存分手を繋ぐか」 付き合い始めてまだ1ヶ月。 こうして少しづつぼくたちの距離は近づいていく。 |