手を繋ぐ2


例えば男女のカップルであれば、デートの時に手を繋ぐなんて当たり前のことだと思う。
だけど、ぼくとギイは同じ男だし、人前で手を繋ぎたいなんて願望は、正直言って皆無なのだ。
少なくともぼくは。
だけどギイは違うようで、隙あらば手を繋ごうとしてくる。
その手を何度振り払ったか分からない。
「手繋ぐくらいいいだろ」
「よくない」
「託生のけちんぼ」
「はい???」
ケチだなんてあまりにもひどい言い草じゃないか。
単にギイに羞恥心がないだけなのに。
「じゃあ腕を組むとか」
「なお悪い」
「オレたち付き合ってんのに」
「・・・あのさ、ギイ」
ぼくはため息混じりにギイを見上げた。
「誰かに見られてるかもって思うとやっぱり無理。だから、あの、2人だけなら別に・・・いいんだけど」
ギイは満面の笑みを浮かべると、素早くぼくの唇にキスをした。
「・・・・っ!」
「んじゃ、寮の305号室で思う存分手を繋ぐか」
付き合い始めてまだ1ヶ月。
こうして少しづつぼくたちの距離は近づいていく。



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あとがき

恋人繋ぎで帰ったとさ。