眠る前にもう一度


「今日、葉山とデートしてたって?」
深夜の寮の空き室。
アラタさんが突然言うものだから、俺は固まってしまった。
「デートじゃないっすよ」
むき出しの肩先に口づけて抱き寄せる。ひんやりとした肌の感触が心地いい。
いや、アラタさんはどこもかしこも気持ちいい。
「ちょっと一緒にお茶飲んだだけです」
「ふうん」
「ふうんって、気になりますか?」
「ならないよ」
あ、やっぱり。
「じゃ何でそんなこと聞くんですか?」
ちょっと意地悪して聞いてみる。ヤキモチ焼いたなんて絶対に言わないだろうけど、それっぽいこと言ってくれたら嬉しいなぁなんて。
アラタさんはくるりと俺へと向き直ると、じっと俺の目をみて、そして薄く笑った。
「だってお前、俺のものだろ?今さら、そんなこと気にしてどうする」
ヤキモチ焼いたなんて言われるよりも、もっと嬉しいことを、この人は簡単に言っちゃってくれるのだ。
やっぱり勝てない。
「アラタさんのせいだからね」
ついさっき終わったばかりだけど、また抱きたくなってきた。
もう一度アラタさんの上に乗ると、アラタさんは小さく笑って、俺の頬に手を置いて、誘うように口づけてくれた。
夜は長い。
眠る前にもう一度。
大好きな人ともう一度。



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あとがき

恋人同士って認めたので、たまには甘やかしてくれるアラタさん。