恋におちても


イヤホンをして、静かにポータブルプレイヤーで音楽を聴いていた託生は突然、
「そうだよね」
とつぶやいた。
「何が?」
音楽を聴いててその感想は何なんだ?と思わず聞き返すと、はっとしたように託生が顔を上げた。
「あ、ごめん」
「いや、何がそうなんだ?」
気になるじゃないか、と託生が横になっているベッドの端に腰掛けた。
託生はイヤホンを外すと、えーっと、と説明をしてくれた。
曰く。
「ぼくも、もし『いつか誰かとまた恋に落ちても』ギイのことをずっと好きなんだろうなぁって」
「・・・」
黙り込むオレに、託生は気恥ずかしそうにそっぽを向いた。
さて。
これはいったいどこから突っ込めばいいのだろうか。
そもそも、お前はいったい誰と恋に落ちるつもりなんだ、とか。
オレをずっと好きなのなら、これが最後の恋だろうが、とか。
だいたい何でそんな昔の曲を聴いて、しみじみしてるんだ、とか。
「託生」
「うん?」
言いたいことは山ほどあるが、とりあえず、
「お仕置きだな」
抵抗できないように、素早く託生に覆いかぶさった。
「何でっ!」
「不適切な発言をしたから」
「何がー」

分からない託生が悪い。



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あとがき

何の歌だっけ!!!と、もだもだする人いますかね。