「納得できない」 恒例の昼食会が終わると、ギイがぶつぶつと首を傾げる。 どこから出てきたのか、ギイと矢倉が付き合っているんじゃないかという噂を知り、ギイはさっきからずっと難しい顔をしているのだ。 「ただの噂だろ?そんなに気にすることないよ」 ぼくが言うと、ギイは深々とため息をついた。 「あのな、誰と誰が付き合ってるなんて無責任な噂は気にしちゃいない。問題はオレと矢倉と、どっちが下かって思われてることだ」 「・・・・あー」 何だ、そんなことか。 「オレが矢倉に押し倒されてるって思われてるとしたら一大事だろ?」 「大げさな」 「いや、かと言って矢倉を押し倒してると思われるのも微妙だ」 「まぁね」 「いや、その前に、どうしてオレと託生が付き合ってるって思われないんだ?」 それは友達設定のせいです、と無言でギイを見る。 「お前、オレと矢倉だったらどっちが下だよ?」 「え?」 「うん?」 「・・・・・どっちも考えたくないし、想像できない。相当無理があるよ」 どっちも美男子だけど・・・いやいや、もう全然無理だし!!!! 「やっぱりオレと託生が付き合ってるって噂・・・じゃないな真実を流すかなー」 「何ばかなこと言ってんだよ」 バレてはまずい真実を流すくらいなら、いかにも冗談みたいな噂が流れている方がましだと思う。 隣でぶつぶつ言うギイには悪いけど、上でも下でもどっちでもいいんじゃないの?とこっそりと思ってしまうぼくであった。 |