あと10分


ちょっと寒いなぁと思って、無意識のうちにギイに擦り寄っていたらしい。
半身だけほっこりと温かくて、あー人の体温って素晴らしいと思った時、ギイがその長い腕と長い足で、ぼくにぐるんと巻きついた。
「ギイ・・・苦しいよ」
「自分から誘ったくせに」
「違います。寒いから体温分けてもらっただけだよ」
「じゃオレには愛情分けて?」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、とても寝ていられる状態ではなくなった。
「もー、安眠妨害するならもうギイとは一緒に寝ないからな!」
「もう起きる時間だから妨害なんてしてませーん」
「くそー、ああ言えばこう言うんだからなー」
「はは、託生、愛してるよ」
「そうやってすぐ誤魔化す」
「ちがうよ、愛情表現してるだけ」
ギイは力を緩めると、優しくぼくを抱きしめた。
まるで毛布のようにぼくを包み込む。
「あと10分だけこうしてよう、まだ早い」
「・・・うん」
ぼくはギイの胸元に顔を埋める。
ギイの匂いとか体温とか鼓動とか。
離れがたくてそっとその身体に腕を回した。



BACK

あとがき

何だよ、もー、らぶらぶかよー。