長い長い口づけのあと、ぼくはまじまじとギイを見つめた。 「なに?」 ギイの指先がぼくの耳元をくすぐった。 「あのさ、ギイ」 「うん?」 「もし、ぼくがギイのことを抱きたいって言ったらどうする?」 「はい?」 ギイの指がぴたりと止まる。 「だから、ぼくが、ギイのこと抱きたいって言ったら」 前から一度聞いてみたかったのだ。 まぁ駄目って言うだろうなぁとは思うけどさ。 ところが、だ! 「託生がしたいっていうなら、まぁいいけど」 ギイは何でもないことのようにさらりと言ったのだ。 「えええっ!!」 「何だよ、お前、自分から聞いておいて何でそんなに驚くんだよ」 「だって」 え、いやいや、だって本当に? ギイってば本当に意味が分かってる? いや、ちょっと待て。 ええっと、いや、まさかとは思うけど。 「ギイ・・」 「うん?」 「もしかして、そういう経験があるから別にいいってことなの?」 「はぁ????」 「海千山千で百戦錬磨で来る者拒まずで、そういうこともしたことあるから、別にいいってこと?」 「いやいやいや、ちょっと待て!」 別に、ぼくと付き合う前に誰かと付き合ってたからといってヤキモチなんて焼くつもりはないけどさ。 でも誰かがギイのこと、って思うとそれはちょっと・・・・ 「だから、ちょっと待て、お前何を想像してるんだっ!!!」 ギイが必死で言い募るけれど、慌てるほどに怪しい。 「勘弁してくれよ」 「それはぼくの台詞だよ」 二人して大きくため息をついた。 |