「雪だ」 「雪だな」 「寒いよね」 「寒いだろうな」 「・・・滑ったりすると危ないよね」 「ちゃんと手を繋いでてやるよ」 「恥ずかしいからやだ」 「んじゃ腕組むか?」 「同じだろ!」 2人して寮の部屋の窓から外を眺めていた。 一面真っ白の銀世界。 綺麗なんだけど、半端なく寒い。 「あのさ、ギイ・・・」 「雪が降って寒いからデートはやめようなんて絶対やだからな」 ・・・・言う前に言われてしまった。 デートなら温かい部屋でもいいじゃないか、といくら訴えても、久しぶりに2人で街へお出かけは譲れないらしい。 「ほら行くぞ」 「えー」 「えーじゃない」 ギイに引きずられるようにして部屋を出る。 デートは嫌いじゃないけれど、冬のお出かけはあんまり好きじゃない。 なんて言おうものならギイに何を言われるか分かったものじゃないので、マフラーをぐるぐる巻きにして、ぼくはこの冬一番の寒さの中へと歩き出すのだった。 |