冬になると託生と手を繋ぐのが難しくなる。 ごくごく当たり前・・・というか無意識のうちに託生へと手を伸ばすと・・・ 「いたっ」 指先が触れた瞬間、託生が声をあげて手を引き、オレを睨んだ。 「ギイ!」 「何だよ、静電気はオレのせいじゃないぞ」 そう、この時期になると指先が触れるたびに、ばちばちと静電気が起きて、そのたびに託生はわーわーと文句を言うのだ。 「もー、痛いから触るなよ」 「そんなこと言ってたら冬中手を繋げないだろ」 「別にいいよ、手なんて繋がなくても」 子供じゃないんだからさ、と託生がつぶやく。 いや、手を繋ぎたいのは子供だと思ってるからじゃなくて。 「恋人なのに」 「そうだけど・・・」 「お前、オレと手を繋ぎたくないのか?」 「・・・・静電気がなければいいよ」 渋々ながら妥協した託生にオレはよしとうなづく。 もちろんその日のうちに静電気除去ブレスレットを二つ購入して、一つを強制的に託生につけさせた。 託生が手を繋ぎたがらないのは恥ずかしいからで、静電気のせいじゃないことくらいオレだって分かっていた。 けど、これで静電気のせいにすることはできなくなる。 まだあれこれと手を繋がないですむ理由を探そうとしている託生の手を無理矢理繋ぐ。 「暖かいだろ?」 「・・・・うん」 付き合い始めてもう半年以上になるのに、まだどこか遠慮がちな恋人の手をオレはぎゅっと握り締めた。 |