そろそろスマホを買い替えようということになり、ギイと一緒にショップへ行った。 ぼくとしては簡単に使えるなら何でも良かったので、ほぼ丸投げでギイに任せた。 こういうことに目がないギイは事前にちゃんと調べていて、そのおかげでさくさくと購入手続きは済んだ。 「やっぱり新しいのって慣れるまでよく分からないなぁ」 基本的な操作は同じだけど、アプリがどこにあるのかさっぱり分からない。 「すぐ慣れるよ」 「そうかなぁ」 ソファに並んで座り、しばらくギイに操作方法を教わった。 確かに覚えてしまえば簡単なんだけどさ。それにしてもどうして次から次へと新しい機種が出るんだろう。 別に使えなくなるわけでもないのにさ。 などと、ぶつぶつ言いながらも教え上手なギイのおかげで一通りのことはできるようになった。 「あ、そうだ」 ギイが傍らのカバンから何やら取り出した。 それはストラップ・・・ではなくスマホケースだった。 それを見て、昔、同じようなことがあったなぁと思わず笑った。 「今度はハート型のストラップじゃないんだね」 「さすがにそれはない。でも色違いでお揃いな」 ギイが優雅にウィンクをする。 マメというか何というか。 ギイって案外と乙女だよねぇ。何気にお揃いのものが好きだったりするし。 「可愛い」 「だろ?」 「スマホケースじゃなくて、ギイが、だよ」 「オレ?」 きょとんと見返すギイはやっぱり可愛い。 お互いいい大人になったけど、恋人の欲目というのはたぶん死ぬまで続くのだろう。 |