真夜中、何となく目が覚めたぼくは半分寝ぼけたまま寝返りを打とうとした。 傍らにはギイがいて、長い腕と足がぼくの身体に巻きついてる。 (重い・・・) 無意識にそう思って、よっこらしょとギイをどけようとしたが叶わない。 眠っている時でさえギイは馬鹿力だ。 ギイを起こさないように不自然な体勢で起き上がろうとしたその瞬間、強烈な痛みが足元に走った。 足が攣ったのだ。それもかなりひどい。 「いっ・・・・・た・・っ!」 あまりの痛さに思わずぎゅっとギイの腕を掴んでしまった。 もちろんすぐにギイが飛び起きた。 「託生?どうした?」 「あ・・・し・・・攣った・・・」 ギイは、息ができないほどの痛みに悶えるぼくを見て驚いたようだが、足が攣ったのだと知ると少し安心したようだった。 「どっちの足だ?」 「右・・・」 「ほら、貸してみろ」 貸す?どういう意味?と聞き返す間もなく、ギイがぼくの右足を掴んだ。 不自然に固まった足を、何の遠慮もなくぐいっと逆方向へと引き伸ばす。 再び襲った痛みにぼくは息を呑む。 「・・っ!!!いたっ・・い、ギイ、待って・・」 「ちょっとの辛抱だ。ほら、おさまってきただろ?」 ギイの言う通り、ゆっくりと痛みが引いていく。 けれど、あまりにも無慈悲な行動にぼくは涙目でギイを睨んだ。 だいたいあんな変な格好でぼくをぎゅうぎゅう抱きしめて寝てるから足が攣ったんだ。 ギイのせいなのに!!!! 「ひどいよ、ギイ」 「治してやったんだろ」 「痛かった!」 「はいはい」 ギイは笑ってぼくの身体に覆いかぶさってきた。 寝起きの熱い身体がぴたりと重なりあって、ぼくはぎょっとした。 「ちょっと、ギイ!」 「痛がってる託生の声が、アノ時の声みたいでめちゃくちゃ色っぽかった」 「はぁ!??」 ちゅっと首筋に口付けるギイに必死で抵抗するものの、馬鹿力で押さえつけられて動けない。 「足、痛いんだよっ!!!」 「足が攣るってのは運動不足なんだよ、託生。だから付き合ってやるよ」 「こんな運動したって意味ないだろっ!!!!」 もちろんぼくの抗議なんて、ギイには通用しなかった。 ギイのスイッチがいったいどこにあるのか、付き合い始めて半年以上たつ今でもぼくにはさっぱり分からない。 |