ふいに伸びてきたギイの腕がぼくの肩に回された。 そのまま引き寄せられて、見惚れてしまうほど綺麗に整った顔が近づいてくる。 ぼくは思わずギイの口元を手のひらで遮った。 「・・・何だよ」 「何が?」 「どういうことかな、託生くん。まさかオレとキスしたくない、なんて言うつもりじゃないだろうな」 「うん、ごめんね、ギイ」 「何で!!!!」 とたんに不機嫌になるギイに、ぼくはどうしようかと少し考え、どうせ誤魔化されるようなギイじゃないのはわかっているので、正直に話すことにした。 ぼくはぺろりと舌を出して、ギイに見せた。 「ほら、口内炎ができてるんだよ。舌の先に」 「だから?」 「だから、キスすると、痛いからやなんだよ」 だってギイ、いつもすごいことするから。 「じゃ、舌使わないキスは?」 「・・・・やっぱりやめとく」 「何で!」 「ギイ、絶対そんなんじゃ我慢できなさそうだもん」 「・・・」 ギイはがっくりとベッドに突っ伏した。 「オレって信用ねぇ・・・」 いや、別にそういうつもりじゃないんだけど・・・やっぱりそうなのかな。 口内炎が治るまでの間、ギイはずっとご機嫌斜めだった。 治ったらまたすごいことされちゃうんだろうなと思うと、痛いのは嫌だけど早く治したいような治したくないような・・・何とも微妙な気持ちになるのだった。 |