秋の味覚



街角で見つけた屋台の焼き芋屋。
思わず足を止めて見入ってしまった。

(買って行こうかなぁ。ギイ好きだし、たぶん赤池くんも食べるよね)

なんて、2人をだしにしつつ、本当はぼくが温かい焼き芋を手にして、暖まりたかったのだ。
ポケットから小銭を出して、3本買った。

待ち合わせはバス停。
そのまま祠堂行きのバスに乗るつもりだったから。
ぼくがバス停に到着すると、先についていた章三がぼくの手元を見て目を丸くする。
「葉山、それ」
「焼き芋。バスの中で食べようと思って」
「何てこった」
と言って、章三が差し出したのは、ぼくが持ってるのを同じ袋。
「ま、食欲魔人がいるからいいか」
「そうだね」
ぼくたちがくすくすと笑っているところへ、当の食欲魔人がやってきた。
「よぉ、いいもの買ってきたぜ」
そう言ってギイもまた、ぼくたちと同じ袋を掲げる。
「・・・・どうするよ」
「えっと・・・ギイが食べてくれるんじゃない?」
合計9本の焼き芋。
さすがの食欲魔人でも無理・・・かもしれない。



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あとがき

男子高校生なら意外と食べちゃうに違いない。