寒さに滅法弱いので、真冬の朝、ベッドから抜け出るのは本当に辛い。 ぼくはしっかりと毛布に埋もれたまま、鼻から上だけをそっと出して時計を見た。 「ああ、もう起きなくちゃ・・・」 いつも非情にぼくの毛布を引っぺがして起こしてくださるギイは、今日は朝一番で 用事があるとかで、一足先に食堂へ行ってしまっていた。 けれどそのおかげで電気ストーブがもう点いている。 なのでいつもよりずっと部屋は暖かい。 ぼくはのろのろとベッドから抜け出して、洗面所へと向かおうと歩き出した。 ふと視界の端にいつもとは違う何かを感じて足を止める。 「なに・・・?」 カーテンが開かれた窓は、外との気温差で曇っている。 ぼくは窓をまじまじと見て、がっくりと脱力してしまった。 朝っぱらか何をやってるんだか、ギイってば・・・。 そこに書かれていたのは相合傘。 左側にギイの名前、右側にぼくの名前。 馬鹿馬鹿しいと思いながらも、ぼくは思わず吹き出してしまった。 時々ギイは信じられないくらい子供っぽいことをしてぼくを笑わせる。 授業が終わって戻ってくる頃にはもう消えてなくなってるだろうなと思いながら、 ぼくは相合傘のとなりに、ハートマークを書いておいた。 もちろん、ギイには内緒である。 |