絶対絶対嫌だ、とさんざんゴネていた託生をようやくバスルームに連れ込んだ。 恋人と一緒にお風呂。これも男の夢の一つだよなぁ、なんて悦に入っていると、託生は、 「やっぱり恥ずかしい」 と上目遣いにオレを見た。 バスタブの端に膝を抱えて座り込む託生は、この期に及んでまだ不満いっぱいの顔をしているのだ。 「なーにが恥ずかしいんだよ、オレ、託生の身体なんて全部知って・・・」 最後まで言う前に、向かい側からばしゃっと託生にお湯をかけられて、オレは思わず目を閉じた。 「っぷ・・・おい、何するんだよ」 「ギイが変なこと言うからだろっ」 「変なことなんて言ってませーん」 「言っただろ」 「ホントのことだろ。だいたいなぁ、今さら恥ずかしいって何だよ。さっきまでさんざん・・っ、ぷ、だからお湯をかけるなっ」 「もうっ、ぼく出るよ」 「こらこら、まだ温まってないだろ」 オレは慌てて託生の手を引き寄せる。広げた足の間に据わらせて、逃げようとする託生を背中からそっと抱きしめる。 「ギイっ」 「こういうのって恋人っぽいよなぁ、あー幸せ」 「・・・」 「何だよ、まだ恥ずかしいって思ってるのか?」 「そりゃね、これが赤池くんとかならぜんぜん平気だけど・・」 託生の言葉にオレは混乱した。 「おい、何で章三だと平気なんだ?」 「え、だって別に男同士なら温泉とか普通に入るし・・・」 「オレだって同じ男だろ!」 「そうだけど・・ギイは・・違うだろ・・・普通の友達じゃないし・・」 託生はぱしゃんと湯を弾く。 友達なら平気だけど、恋人とは恥ずかしいのだという託生の言葉に、オレはよしよしとうなづく。 「オレ、お前の恋人だもんな」 首筋に口づけると、託生はひゃっと色気のない声を出した。 このままここでもう一度なんて言ったら、そりゃもう託生は怒るだろうけど、お風呂で・・っていうもう一つの男の夢を実現させるべく、オレは託生の身体を引き寄せた。 |