「え、アラタさんて漫画読むんすか!!!!?」 心底意外だという真行寺の声に、三洲の方がびっくりした。 「何だよ、俺が漫画読んじゃおかしいか?」 「え、だってアラタさんて漫画とか馬鹿にしそうだし」 「俺だって漫画くらい読むよ」 週刊チャンプは小学生の頃に友達に貸してもらって以来、何となくやめれずに買い続けている。 さすがに全寮制の祠堂では入手困難だと思ったから、漫画も卒業かなと思っていたら、毎週ちゃんと売店に入荷されるということが分かり驚いた。 まぁ考えてみれば、学生からの要望が寄せられたんだろうなと思う。 連載ものっていうのは途中ではやめられないものだ。 じーっとチャンプを見つめる真行寺に、思わず笑いが漏れる。 「もう読んだから持っていっていいよ。お前も読んでるんだろ?」 「え、いいんすか?やりっ、実は今月小遣いが底をつきまして」 「お前、けっこうな額貰ってんだろ?何に使ったんだ?」 「主に部活前後の食べ物ですかねー。もう腹減って仕方ないんで」 「・・・・」 これだから運動部は暑苦しい。 とは言え、真行寺が真剣に剣道に打ち込んでいることは評価している三洲なので、少年チャンプは毎週貸してやることにした。 決して考えていたわけではないのだけれど、結果としてそれが、三洲と真行寺が毎週会う理由となってしまったということに気づいていない二人だった。 |