夢の中とはいえ、女の子の姿になったギイとぼくがいきつくとこまでいってしまったということを、ギイはずいぶんと面白がっていた。 というより、何だか妙に興奮しているようで、ぼくとしては複雑だ。 「あのさ、ギイ」 「うん?」 「もしぼくが、ギイのことを抱きたいって言ったらどうするつもり?」 「は?」 「だから、夢みたいに、ぼくがギイのことを押し倒したりしたら、どうするつもり?そんな風に面白がっていられないよね?」 貞操の危機だぞ! ギイはうーんと少し考えたあと、 「託生がそうしたいっていうなら考えるけど?」 とあっさり言った。これにはぼくの方が驚いた。 「ギイ、冗談だよね?」 「どうして?お前が抱きたいって言い出したんだろ?」 いや、あくまで、もしもの話で、別に抱きたいなんて言ってないし!! 「託生にならバージン捧げてもいいけど?」 耳元で低く囁かれ、ぼくはけっこうです!と思いっきり拒絶した。 そんなぼくの反応にギイは憮然とする。 「何かそこまで拒否られるのも複雑だな」 「あっさり承諾されても複雑だよ」 とりあえず、突き詰めるとややこしい話になりそうなので、ぼくたちはこの話はなかったことにした。 |