あまりにも暑い日が続いたある日、プール行こうか、とギイに誘われた。 章三も誘ったと言うので、ぼくは特に何も考えずに「いいよ」と答えた。 高校生が休日にプールに行くとなれば、普通は市民プールだと思うはず。 けれど、連れていかれたのは都内の高級ホテルの屋内プールだった。 「何ここ!」 「プールだろ」 別段驚いた風もなく章三が答える。聞くと、去年も一緒に来たらしい。 ギイは父親の仕事の絡みで、このホテルのプールは無料で使えるらしい。 「市民プールだと思ってた」 と思わずつぶやいたぼくに、章三は呆れたような視線を投げかけた。 「あのな、ギイと市民プールなんてどう考えても似合わないだろうが。お前、ヤツの恋人ならそろそろ自覚しろよな」 「そっか・・そうだね」 確かにギイと市民プールは似合わない。 「こういう微妙なギャップが将来離婚の原因になったりするんだよな」 とニヤリと笑う章三に 「プールくらいで離婚になってたまるか」 とギイがむっとする。 プールが問題じゃないんだけどなぁ、とぼくは浮き輪につかまりながらぼんやりと思った。 |