オレの恋人は猫を飼い始めた。 一人暮らしで寂しいから、なんて言われたら、ダメだと言うことはできない。 だが。しかしである!! 「どこの世界に猫に恋人の名前をつけるヤツがいるんだ!!」 「だっていい名前が思い浮かばなかったし」 「猫なら猫らしくタマとかミケとか」 「今時そんなベタな名前、猫だって嫌がるよ」 「だからって、ギイってつけるな!!」 むーっと拗ねる託生のそばに噂の猫がやってきて、当然の権利とばかりに託生の膝の上に座った。 気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らす。 「・・・何かむかつくな、この猫」 それはそれは綺麗な毛並みをしていて、気位の高そうな猫だというのに、託生の前では猫を被って甘えてばかりなのだ。 もちろんオレには一向に懐く気配はない。 「お腹空いた?ギイ?」 蕩けそうな表情で、託生が猫を撫でる。 そういう顔、オレには見せないくせに、どういう了見だこのヤロー 「可愛いなぁ、ギイ」 「だからオレの名前で呼ぶな」 「えー、じゃあ義一って名前にしようかな」 「なお悪いだろ!!!」 今まで数々のライバルを蹴散らしてきたが、この猫、どうしてくれよう。 |