猫飼ってみました 5


オレの恋人は猫を飼い始めた。
一人暮らしで寂しいから、なんて言われたら、ダメだと言うことはできない。
だが。しかしである!!
「どこの世界に猫に恋人の名前をつけるヤツがいるんだ!!」
「だっていい名前が思い浮かばなかったし」
「猫なら猫らしくタマとかミケとか」
「今時そんなベタな名前、猫だって嫌がるよ」
「だからって、ギイってつけるな!!」
むーっと拗ねる託生のそばに噂の猫がやってきて、当然の権利とばかりに託生の膝の上に座った。
気持ち良さそうにごろごろと喉を鳴らす。
「・・・何かむかつくな、この猫」
それはそれは綺麗な毛並みをしていて、気位の高そうな猫だというのに、託生の前では猫を被って甘えてばかりなのだ。
もちろんオレには一向に懐く気配はない。
「お腹空いた?ギイ?」
蕩けそうな表情で、託生が猫を撫でる。
そういう顔、オレには見せないくせに、どういう了見だこのヤロー
「可愛いなぁ、ギイ」
「だからオレの名前で呼ぶな」
「えー、じゃあ義一って名前にしようかな」
「なお悪いだろ!!!」
今まで数々のライバルを蹴散らしてきたが、この猫、どうしてくれよう。



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あとがき

猫が義一だったりすると、ギイは拗ねるわな。