「ぼく、一緒に暮らさないかって言われてるんだ」 膝の上に座り込んだ猫のギイの頭を、託生はくるりと撫でた。 「どうしたらいいと思う?ギイ」 大きな丸い目が託生を見上げる。 透き通るような薄茶の瞳は大好きな恋人を思い出させた。 この目の色が彼と似てたらから、託生はこの子にしようと決めたのだ。 この子がいると、いつも忙しくてなかなか会えない恋人と一緒にいられるような気がしたから。 それなのに当の本人は猫を相手に本気でヤキモチを焼くのだから始末に負えない。 「何かさ、一緒に暮らすと甘えちゃうような気がするだろ?」 「にゃ?」 「ギイ、すっごく優しいから、あれこれ世話焼きたがるし、でも迷惑かけたくないっていうか何ていうか」 「・・・」 「でもさ、好きなんだよね」 「にゃー」 「あっちにも猫がいるんだよ?すごく可愛い子。ギイ、ちゃんと仲良くできる?」 不思議そうに首を傾げ、ギイは託生の指をかぷっと噛んだ。 「それ、いいよってこと?それともダメってこと?」 かじかじと甘噛みするギイに、託生はうーんと唸った。 |